その奥深さについハマる?花札のルールと絵柄の特徴を詳しく解説します
花札といえばさまざまな絵柄が描かれたものというイメージを誰もが持っていると思います。しかしその詳しいルールをご存知でしょうか。実は花札は非常に戦略性の高い、高度なテクニックを要する知的なゲームです。そこで今回はこの花札のルールと、その絵柄の特徴について詳しく解説します。またゲームをする上での戦略も説明するので、初めてやるという方には役立つと思います。
花札の特徴
花札の遊びにはいろんな種類があります。その中でメジャーな遊びといえば「こいこい」です。
花札は48枚の札からなる江戸時代から続く歴史あるゲームです。その花札を一般に普及させたのは、実はゲーム企業としてトップに立つ任天堂なのはご存知でしょうか。
花札といえばさまざまな絵柄が描かれていることでも有名ですが、12の月に4枚ずつという構成になっています。そしてそれぞれの月には次のように、同じ植物とともに花鳥風月が描かれています。
1月 | 松に鶴 | 五光(20点)・短冊(5点)・カス(1点)×2 |
2月 | 梅にうぐいす | タネ(10点)・短冊(5点)・カス(1点)×2 |
3月 | 桜に幕 | 五光(20点)・短冊(5点)・カス(1点)×2 |
4月 | 藤にほととぎす | タネ(10点)・短冊(5点)・カス(1点)×2 |
5月 | あやめに八つ橋 | タネ(10点)・短冊(5点)・カス(1点)×2 |
6月 | 牡丹に蝶 | タネ(10点)・短冊(5点)・カス(1点)×2 |
7月 | 萩に猪 | タネ(10点)・短冊(5点)・カス(1点)×2 |
8月 | ススキに雁 | 五光(20点)・タネ(10点)・カス(1点)×2 |
9月 | 菊に杯 | タネ(10点)・短冊(5点)・カス(1点)×2 |
10月 | 紅葉に鹿 | タネ(10点)・短冊(5点)・カス(1点)×2 |
11月 | 柳に小野道風 | 五光(20点)・タネ(10点)・カス(1点)×2 |
12月 | 桐に鳳凰 | 五光(20点)・カス(1点)×3 |
1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

※札の点数は「こいこい」以外のゲーム、「花合わせ」や「八八」で使います
花札のメジャーな遊びは「こいこい」
花札を使った遊びにはいろんなものがありますが、なかでも有名なのが「こいこい」です。劇場アニメでも重要なシーンで出てきたので、ご存知の方も多いかと思います。
その特徴には次のようなものがあります。
- 2人で遊べる
- 戦術を楽しめる
- 駆け引きを楽しめる
基本的に花札の「こいこい」は2人で遊びます。こいこいのルールは、同じ種類の絵柄の出来役(グループ)を作って役に応じた得点を稼ぎ、その得点の多さを競います。
花札のゲームの流れ
まずは花札「こいこい」の簡単なゲームの流れを説明します。ルールとしては、2人のプレイヤーが手札で同じ種類の絵柄で役を作り、その役の得点を稼ぐというものです。そして花札のゲームの流れは次のようになります。
- 親を決める
- 手札を配る
- 交互に1枚札を出し役を作る
- 役が出来たら続ける(「こいこい」する)か終了(勝負)するか決める
それぞれを詳しく説明しましょう。

花札の遊び方
花札「こいこい」の詳しいルールと遊び方を説明します。
親を決める
まずは1組48枚の花札を用意をします。そして花札「こいこい」を始める2人の準備ができたら、最初に「親」を決めます。2人のプレイヤーは先手となる親と、後手となる「子」になります。
この親は1回のゲームが終了し、その勝者となったプレイヤーが次のゲームの親となる決まりです。そしてゲームは通常、12回戦行います。
最初の親の決め方はまず、よく切った花札を裏向きにして置き、その上から2人のプレイヤーが1枚ずつ札を取って表向きに置きます。その札の月が早いほうが親となります。もし月が同じであれば、点数の高い札が出たプレイヤーが親です。
札を配る
親が決まれば、その親が札を配ります。花札をよく切って、子(裏向き)、場(表向き)、親(裏向き)の順に4枚ずつ札を配り、もう一度同じ順で4枚ずつ札を配っていきます。残った札は裏向きにして「山札」として置いておきます。
これで親、子、場に8枚ずつの札があることになります。ここまで終了したら、いよいよ花札「こいこい」のスタートです。自分の手札は相手に見られないよう、注意してください。
ただし、最初に配られた8枚の中に次の役が出来ている場合には6点をもらって次の回に移ります。
- 手四(てし)(同じ月が4枚ある)
- くっつき(同じ月が2枚ずつ4組)
プレイ開始
まずは親が手札から1枚を選んで場に出し、場札に同じ月の札があれば取って、手札から出した札とともに「合札」として自分の前に「表向き」にして置きます。もし同じ月の場札がなければ、手札から出した札はそのまま表向きで場に置いておきます。以降、場に置く札はすべて表向きとなります。
続いて山札から1枚めくり、場に同じ月の札があれば合札となり手前に置きます。合札は相手に見えるよう、点数順にして手前に並べておきましょう。同じ月の札がなければ、そのまま場に置きます。
親の順番が終われば、次は子が同様にプレイします。
手札がなくなるまで繰り返す
親と子が交互にプレイを繰り返して、役が出来ずに手札がなくなれば1回終了します。この場合には親と子が交代して、次の回を開始します。
もし手札がなくなる前に親と子のどちらかの合札で出来役が完成したら、そこで一旦ゲームは中断します。そして役が出来たプレイヤーは「こいこい」か「勝負」のどちらかを選択します。
「勝負」を選んだ場合
役が出来たプレイヤーが勝負を選んだ場合には、そこでその回は終了します。その時点で役が出来たプレイヤーは点数の計算をして、次の回に移ります。ゲームは12回行って最終的に点数の多いほうが勝ちとなります。
役が出来た時点でまだ役が作れそうか、それとも逆に相手に役が出来そうかを考えます。相手に役が出来そうならば、勝負を選んだほうがよいでしょう。もし出来役の合計が7点以上であれば、得点は倍になります。
勝負を選ぶとその回で獲得した点数が加算されますが、もし「こいこい」を選ぶとゲームをそのまま続行します。その選択肢は最初に役が出来たらプレイヤーのみに与えられるので、終了した場合には宣言したプレイヤーのみが点数に加算されることになります。

「こいこい」を選んだ場合
役が先に出来たプレイヤーが「こいこい」を宣言した、そのままその回のゲームを続行します。そして次に役が出来たプレイヤーが同じように「こいこい」か「勝負」を選択できます。
もし、「こいこい」を選択したあとに相手が先に役を作れば、その得点は倍になります。そして相手が「勝負」を宣言すれば、自分は役が出来ていても点数は加算されません。つまり「こいこい」と宣言すると、その回は逆転されるリスクもあるということです。
「こいこい」を宣言したあとにゲームを続行し、どちらも役が出来なければゲームは流れてどちらも点数は増えません。そして「親権」として親に6点が入るルールとなっています。
12回終われば終了
12回のゲームを行えば終了となり、2人それぞれの合計得点を比べて、その合計得点が多いほうが勝ちとなります。もしそのまま次のゲームを続けるのであれば、再び親を決めることから始めます。
このようなルールで花札「こいこい」は進み、2人のプレイヤーは得点の多さを競うことになります。
花札の役一覧
花札「こいこい」において、同じ種類の絵柄で作る役をご紹介します。
役の名前 | 点数 | 内容 |
五光 | 10点 | 光札5枚 |
四光 | 8点 | 光札4枚 |
雨四光 | 7点 | 雨入り光札を含む4枚 |
三光 | 5点 | 雨札以外の光札4枚のうち3枚で |
猪鹿蝶 | 5点 | 猪と鹿と蝶のタネ札3枚 |
花見で一杯 | 5点 | 「桜と幕」あるいは「菊と盃」の組み合わせ |
月見で一杯 | 5点 | 「芒と月」あるいは「菊と盃」の組み合わせ |
赤短 | 5点 | 赤の短冊3枚 |
青短 | 5点 | 青の短冊3枚 |
タネ5枚 | 1点 | タネ札5枚(1枚追加ごとに1点加算) |
タン5枚 | 1点 | 短冊札5枚(1枚追加ごとに1点加算) |
カス10枚 | 1点 | カス札5枚(1枚追加ごとに1点加算) |
赤短・青短の重複 | 10点 | 短冊札6枚(1枚追加ごとに1点追加) |
花札「こいこい」で勝つためのコツ
花札「こいこい」は先に役が出来たプレイヤーが主導権を握るルールです。そのため、いかに早く役を作るかが重要です。そこで取れる札を先に取り、相手に札を取らせないというのが基本的な戦略となります。それを踏まえたうえで、花札「こいこい」で勝つための戦略を説明します。
複数の役が作れる札を取る
花札「こいこい」のルールでは、次のように1つの札が複数の役に使えるものがあります。
- 芒に月(光役か花見・月見を構成する)
- 桜に幕(光役か花見・月見を構成する)
- 菊に盃(タネか花見・月見を構成する)
このように手元に置いておけば、いずれかの札が出た時に役が出来る可能性がある札は優先的に取ることが大事です。
また自分が作れる役は相手には作れない、というのも花見「こいこい」では重要なポイントになります。
追加点が狙える役を優先する
三光やタネ、タンといった役は札が追加されるたびに加点されるルールです。たとえば序盤においてこれらの役が出来た場合、加点が狙えることを確認すれば「こいこい」を宣言することになります。
あるいは「月見に一杯」など加点が狙えない役が出来そうな場合、そこで役を成立させるのか、あるいはほかに加点がつく役を狙うのかを考えるのも大事な戦略と言えます。
「猪鹿蝶」を狙う
「猪鹿蝶」が成立する札「萩に猪」と「牡丹に蝶」、「紅葉に鹿」はタネの成立にも使える札です。どちらの役も狙えるという意味では、「猪鹿蝶」が狙える札を優先的に手に入れると優位にゲームを進めることができます。
このように花見「こいこい」はそのルール上、複数の役が狙える札を集めることが勝利につながる戦略となります。

不確定要素を考える
花見「こいこい」は同じ月の札を2枚1組にして取るルールです。すでに自分が1組を取り、さらに同じ月を1枚手にしているならば次のことが考えられます。
- 相手が残り1枚を持っている
- 山札に1枚残っている
この時点では残りの1枚がどちらなのかが不確定です。しかし山札から残りの1枚が出たならば、それを取ることができるのは自分だけとなります。つまり、不確定要素はなくなり札をいつでも取れる状態になったことを意味します。
このように残りの札の在処(ありか)を常に考え、どの札を取るのかあるいは取らないのかを考えるのが花見「こいこい」の戦略です。
まとめ
花見はただ札を集めるだけの簡単なルールに見えますが、実は相当に奥深いゲームであることがわかります。山札からどの札が出るのか、運に左右されるように見えますが、戦略を立てることで優位にゲームを進めることができます。洞察力などが鍛えられるので、花札をやったことがない人は、ぜひ遊んでみてはいかがでしょうか。